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2014.11.2
Ayacy's HP


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神緒のべるず 第1話 ミィちゃんを探せ -4-



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「はい、道を開けてくださーい」
と光大朗さんが叫び、なんとかして外へ出るための道を確保する。
オロオロしつづける里桜のところまでいく。

横で、マミちゃんがうれしそうにヘビを抱いているのだが、その異様な光景を見て、ざわざわとするおばさんたち。

「おじさん、お姉ちゃんたち、巳ぃちゃんを探してくれて、ありがとう!」
「そ、それは、ど、どういたしまして」

私たちが関係者だと理解されたようだ。
敵視としか思えない視線が私たちに降り注いでいる。
さぁ、どうしようか…。

おばさんの中の一人が、マミちゃんに聞いた。
「そのヘビ、まさかあなたのところで飼っているの?」
「そうだよ。かわいいでしょ」
マミちゃんはヘビの頭をおばさんのほうに向ける。ヘビがうれしそうにシャーッってやってる。
それは逆効果だろうよ。

「け、警察よぶのよ!」
「いいえ、市役所よ!」
「保健所よ!」

まっとうな反応だろう。普通はこうなる。

マミちゃんは悲しげな顔になる。まさか、周囲の大人からこんなことを言われるとは、思いもしなかったのだろう。
早く捨てなさいとか、危ないじゃないよとか、気持ち悪いとか、警察へ行きなさいとか、保健所へ行きなさいとか、口々に攻められている。
マミちゃんはヘビを守るように抱きしめて、縮こまっている。そこへ大人たちがさらに押し寄せる。

ただ、ヘビがいなかったら、弱いものいじめみたいに見えなくもない。
どうするべきか、考えていると、

「ちょ、ちょっと待ってください!」

里桜だった。里桜はマミちゃんを守るように立つと、

「このミィちゃんは危なくありません! 実際にマミちゃんと仲良くしているじゃないですか!」

と叫ぶ。するとおばさんのうちの一人が、

「あんた保護者なの? そんなこと言ったって、あのヘビが、あの子以外に危害を加えないとは限らないじゃないの!
 あんた、証明できるの?」

里桜の目が一瞬うろたえる。
里桜だって普通の女の子だ。ヘビが好きなわけじゃない。
しかし、困った人を見捨ててはおけない、強い心を持っているんだ。がんばれ、里桜。

「で、できます!」
「へぇ。やってみなさいよ」

里桜は意を決して、マミちゃんに言った。

「マミちゃん、ちょっとミィちゃんを貸してくれるかな。あたし、ミィちゃんと遊びたいな」
「うん、いいよ」

マミちゃんが手を伸ばし、里桜も手を伸ばすと、ヘビがシュルシュルっと里桜の方へ移って行く。
おばさんたちのほうからは見えないだろうが、こちらからは里桜の顔が真っ青になっていくのがわかる。
それでもグッと我慢している。爬虫類独特の低体温が首元を動いているわけで、そりゃそうだろう。

神緒のべるず 第1話「ミィちゃんを探せ」挿絵「ほ、ほら、どうですか? こんなことだってできますよ・・・」

舌を伸ばす。するとヘビもそれに呼応するようにチロチロと舌を伸ばす。
里桜はガタガタ震えながら、下の先端同士をくっつけて、どうだ!という顔をおばさんのほうに見せる。
表情は勝ち誇っているが、額は汗でびっしょりだ。

それをみたおばさんたちは、
「まぁいいわ。危険じゃないのはよくわかったから。
 今後はよく面倒を見て、今日みたいなことがないようにするのよ」

あきらめ半分、里桜のがんばりに感動したのが半分ってところだろうか。
おばさんたちは去っていった。

「里桜、よくやったじゃない! 最後には、ちゃんとお仕事をもってきた責任も果たせたわね!
 エライエライ」

里桜の方をポンッと叩くが、反応がない。
顔を見ると、白目をむいてしまって、どうやら立ったまま気絶してしまっていたようだ。


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※このサイトは、着ぐるみ小説サイト「神緒のべるず」および、葦葉製作所頒布の小説「神緒のべるず 第1巻」、「神緒のべるず 第2巻(PDF版)」、Yuzu R.さんの再録本掲載の小説をWeb用に再編集したものとなります。一部は書き下ろしです。


関連サイト: 巫女ブラスター2 巫女ブラスター

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