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2014.11.2
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神緒のべるず 第3話 御神楽IT革命 -4-



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一仕事を終えた睦は、「ふぅ〜」と息を吹いた。

「さて、バケモノも退治したことだし、帰りましょうかね」
「それで睦、私たちはどうやって帰ったらいいのかしら…?」
「それはね…」

睦は懐の中をさぐる。

「あれ…?」

何かを探しているようだが、見つからないようだ。

「何を探しているの?」
「えっと、ここに来るときに使った緑色のお札。あれを破くと、私たちは外へ出られるんだけど…」
「もしかしたら、パソコンの外に置いて来ちゃったんじゃ?」
「そ、そうかも…」
「えーっ!?」

どうやら、パソコンの中に閉じこめられてしまったようだ。



あれからどれくらい経っただろうか。
体感的には1時間くらいは経ったような気がする。

1つわかったことがある。
パソコンの外の様子が、何となくわかるようになってきた。
少なくとも、外の音は伝わってきているようだ。
耳を澄ませると、神社の近くを通る車の音が、少しだけ聞こえてくることがある。

「とは言っても、こっちから何かを伝える方法がないと、ダメなのよね…」

すると、そとからドアを開ける音が聞こえてきた。

「ただいま〜。」

「あれは巴の声だ」

巴はしばらくの間、何かを探すように周囲を歩いているようだ。

「う〜ん、姉さんったら、どこへ行っちゃったのかしら。
 パソコンつけっぱなしで…。もったいないなぁ。電源切っておこう」


う、うわ、やめて。電源切ったら、私たちもろとも消えて無くなっちゃう…気がする。
とにかく、無事に済まない気がする!

「うわぁぁ、どうしたらいいかしら!」
「巴が緑色のお札に気付いてくれたら良いんだけど」

ふと、私は気付いた。巴はたしか、携帯電話を持っていたはずだ。
メールを送ることができれば…。

「睦! メールよ。巴にメールを出せば良いんだわ」
「なるほど。その手があったわね。
 ……あのミューはどこへ行ったかしら。あ、いたいた」

ミュ〜っ

「そこのミューさ〜ん! こっちこっち!」
「なんですかミュー」
「ちょっとお願いがあるんだけどさ。急ぎで、メールを出したいんだけど」
「わかったですミュー」
「助かったー」

私と睦は安堵した。これで何とか、外へ出られそうだ。
が、すぐにとは行かないようだ。

「お姉さん達、なんかお困りのようですミュー。みゅみゅみゅみゅ…」

奇妙な笑い方をしている。
私は、不安になって聞いてみる。

「みゅみゅみゅ。交換条件ですミュー。みゅみゅみゅ」

こ、こいつ。何を企んでいるんだ?

「簡単ですミュー。こう見てもボクは健全な男の子ですミュー。外へ出たら、エロ画像をこのパソコンでたっぷり集めてきて欲しいですミュー」
「なんですって!」

睦が叫ぶ。

「あ、イヤならいいんですミュー。お姉さん達、このまま消えちゃえばいいんですミュー」
「あ、あなた…、こっちの状況をわかっていてそんなことを…」

神緒のべるず 第3話 御神楽IT革命 挿絵ま、まぁ仕方がない、外に出られることと比べれば、そんなに難しいことじゃない。
難しいことではないが…恥ずかしい…。

睦が意を決する。

「ま、まあいいわ。私が外に出たら…その…それを集めてきてあげる」
「え? 何を集めるんですミュー? お姉さんの口から聞きたいですミュー」
「ク、クッ…!」
「イヤならいいんですミュー」
「わ、わかったわよ! エロ画像を集めりゃいいんでしょ、エロ画像!」
「オッケーですミュー。それじゃ、お姉さん達には、さっそく外へ出てもらうんですミュー」

ミューはどこかへ行ってしまった。メールを出してくれているようだ。

外から巴の声がする。

「え? なになに? メール? ああ、このお札を破ればいいのね」

ビリビリ。



ふと気付くと、パソコンの外へ出てきていた。
どうやら無事に外へ出られたようだ。

「良かったー」
「助かったー」

私たちは、口々に安堵の声を上げる。

「姉さん達、お帰りなさい」
「ああ、助かったわ、巴」
「お邪魔してます...」
「あら、明日香さん、ごくろうさま」

ところで…。
ミューとの約束を思い出す。

「あいつのために、アレを集めてやらないといけないのよね。不本意だけど…」

私と睦がパソコンの方へ向かおうとし、パソコンの方を見ると、…
巴が電源ボタンを長押しして、電源を切っていた。

ぷぅ〜ん…というモーターの静止しようとする音が、むなしく響きわたる。

「「あ…!」」

思わず私と睦の声がかぶる。
すると巴が、

「あぁ、なんかね。姉さん達が中に入っている間から、ずっと動きが遅くって。
 姉さん達が出てきてから、もう完全に動かなくなっちゃったみたいなんで、電源源切っちゃった。」

あわててパソコンを再起動してみる。
ちょっと見た感じでは「ミューなんとか」というプログラムは動いていない。
どうやら、パソコンの電源を切ったのと同時に、消えて無くなってしまったようだ。

哀れ、ミューなんとかさん。パソコンの動きを遅くするくらい、はしゃいでいたのかしら…?




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※このサイトは、着ぐるみ小説サイト「神緒のべるず」および、葦葉製作所頒布の小説「神緒のべるず 第1巻」、「神緒のべるず 第2巻(PDF版)」、Yuzu R.さんの再録本掲載の小説をWeb用に再編集したものとなります。一部は書き下ろしです。


関連サイト: 巫女ブラスター2 巫女ブラスター

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