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2015.7.25
Ayacy's HP


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神緒のべるず 第5話 航時見聞録 -1-



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「…というわけで、明日香にも来てもらったわけよ」
「全然!理解できていないわよ!」

今日も睦から電話で呼び出された私は、神社の境内で、睦に「私が呼び出された理由」を尋ねていた。

どうやら、睦のいる神社に奉納されている武具が壊れてしまったのだという。
前に、ガム工場に単身で乗り込んできたときに使われた、マシンガンっぽい道具のことだ。

いちおう、どうにかして直らないものかと、叩いたり、叩いたり、それから叩いたりなどしてみたものの、一向に直る気配はなく、困り果てていたのだという。

聞けば最近は、この武具を酷使しっぱなしだったようだ。
睦が高校生のころ、蔵の掃除をしていたときに、誤って妖怪の封印されている壺を割ってしまって妖怪が飛び出してきて、太平洋沿岸を妖怪だらけにしてしまったときに活用したという。
また、ついこの間、睦の妹で三女の楓(かえで)ちゃんが、睦のしごきに耐えかねて家を飛び出したときも、それを使って近くの離島まで逃げ出したんだっけ。

これだけ短期間に酷使していれば、壊れるのもうなずけるというものだ。

で、一通りの民間療法的修理を施した後、倉庫の中を探ってみたところ、黄色いお札が1枚見つかり、壊れた武具を直すための方法が書かれていたのだという。
黄色いお札に書かれていたことを無理やり要約すると、こうだ。

== 保証書 ==

このたびは、本製品をお手にお取いただき、まことにありがとうございます。
本製品は精密機器でありますが、慎重に使うことで500年は使える設計となっております。
もし、本製品が製造されて500年以内に壊れるようなことがありましたら、下記の呪文をお唱えください。
なお、当方の瑕疵範囲外での故障につきましては、有償修理となることがありますので、あらかじめご了承ください。

「…で、ここに書かれている呪文を唱えてやろうかと思ったんだけどね。なんか面白いことになりそうだったから、明日香を呼んだわけよ」
「そんなの、一人で勝手に唱えなさいよ! 私を変なことに巻き込むんじゃないわよ!」
「まぁまぁ、私とあんたの仲じゃないの。それじゃあ、呪文を唱えるからね〜」
「え? えっ? えっ?!」

「月の精霊たちよ。今こそ、その力を示し、われらを導け!」

睦の周囲2mほどの範囲の地面に魔方陣のようなものが浮かび上がり、光を放つ。
周辺の砂が舞い上がったかと思うと、目の前が真っ白になった。



周囲の白さも収まり、あたりを見回してみると…。ここはどこかの室内らしい。
壁に竹刀が掛けられており、剣道の道場だろうか。
窓にはガラスはなく、外から明るい日差しが差し込んでいる。
スズメの鳴き声が聞こえている。

「ここ、どこかしら…」
「さぁ…」

睦も知らない場所のようだ。

すると、奥の部屋からだろうか。この位置から見えない場所から声が聞こえてくる。

「おぉ。さっそく来おったか。
 今はちと忙しいのでな。しばしその場で待っておれ」

声の主は、こちらの事情を知っている様子だ。
とりあえず、その場で待っておれと言われたので、私たちは待っていることにする。

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※このサイトは、着ぐるみ小説サイト「神緒のべるず」および、葦葉製作所頒布の小説「神緒のべるず 第1巻」、「神緒のべるず 第2巻(PDF版)」、Yuzu R.さんの再録本掲載の小説をWeb用に再編集したものとなります。一部は書き下ろしです。


関連サイト: 巫女ブラスター2 巫女ブラスター

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