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2012.6.17
Ayacy's HP


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神緒のべるず 第7話 お姉ちゃんの誕生日 -1-



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「う〜ん、やっぱり、これがいいかなぁ〜」

私がスーパーマーケットでお夕飯の買い物をしていると、聞き覚えのある声が聞こえてきた。
声は、お菓子売り場の方から聞こえてくる。

気になってそちらの方へ行ってみると、声の主はお菓子の陳列棚を前に、何かを悩んでいるようだった。
そのとき、声の主がこちらに気付く。

「あっ! 明日香さん、こんにちは〜」
「あら、こんにちは。楓(かえで)ちゃん。ごあいさつできて、偉いわね。今日は一人でお買い物かな?」
「うん、そうなの!」

楓ちゃんは、睦(むつみ)と巴(ともえ)の妹である。
いつも元気で明るくて、近所では評判が良い。まあ、元気がよすぎて暴れ回り、周囲に迷惑をかけてしまうこともあるのだが…。
たしか、今年、小学校の高学年になったんだっけ。

それにしても、一人で、しかも学校帰りの時間にスーパーマーケットでお買い物とは、めずらしい。
事情を聞いてみることにする。

「楓ちゃんは、何を買おうとしているの?」

すると、楓ちゃんは人差し指をあごの下に持っていき、「う〜んと…」と少し考える仕草をする。

少しすると、「明日香さんになら、話しても大丈夫かな」と言い、私の方を向いて話し始めた。

「えっとね。実は明日は、睦お姉ちゃんの誕生日なの。それで、お誕生日プレゼントになるものはないかな、って探していたんだけど…」

楓ちゃんは、カバンから財布を取り出し、中身を覗いてガックリした表情をする。

「かえでのおこづかいだと…、あんまり高いものは買えないんだよね…」

なるほど。睦への誕生日プレゼントを買おうとしていて、自分のおこづかいの範囲で買えるものを探しているというわけだ。
姉思いの、良い子だなぁ。
ただ、お菓子売り場の前で悩んでいるのはなぜだろう。それについても聞いてみることにする。

「へぇ。そうなんだ。偉いわね。
 ところで、お菓子売り場の前で悩んでいたみたいだけど、何か、買う物は決めたの」

そう聞くと、楓ちゃんは「そうそう!」と言いながら、お菓子の陳列棚から1つの箱を取り出す。

「これなんか、どうかな? と思って」

そういって取り出された箱には、骨の形をしたお菓子の写真がプリントされている。よく漫画で、犬が口にくわえていそうな形状の骨だ。
そして、写真の上には「カルシウムたっぷり!」と書かれている。

なんで?と思っていると、楓ちゃんは、

「睦お姉ちゃん、怒りっぽいから。カルシウム入りのお菓子をプレゼントしてあげようと思って!」

と自信たっぷりに追加の説明をしてくれた。
私は「なるほど」と思いつつも、ちょっとそれは違うぞと思い、

「そうなんだ。ただ………これを渡したら、睦はもっと怒りそうな気がするんだけど…」

と、言ってあげる。

「そっかなぁ…。う〜ん…」

楓ちゃんは再び悩み出してしまった。
ちょっと助けてあげたほうが良いかもしれない。

そう思い、楓ちゃんに助言をする。

「睦の誕生日プレゼントなんだし、本人に、今、何が欲しいか聞いてみるのが良いかもしれないわ」

すると、楓ちゃんは、パーッと明るい顔になり、

「そっかぁ!明日香さん、あったまイイ!
 ただ、かえでがお姉ちゃんに『何が欲しい?』って聞いたら、お姉ちゃんにプレゼントのこと、バレちゃうよね…」

「それもそうね。それじゃあ、私がさりげなく、何が欲しいか聞いておいてあげようか」

「わーい! ありがとう!」

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※このサイトは、着ぐるみ小説サイト「神緒のべるず」および、葦葉製作所頒布の小説「神緒のべるず 第1巻」、「神緒のべるず 第2巻(PDF版)」、Yuzu R.さんの再録本掲載の小説をWeb用に再編集したものとなります。一部は書き下ろしです。


関連サイト: 巫女ブラスター2 巫女ブラスター

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