Written in Japanese(UTF-8)
2012.6.17
Ayacy's HP


/葦葉製作所/トップ/小説目次

神緒のべるず 第8話 おるる☆すくらんぶる -3-



前へ / 目次へ
巴が状況から分析する。

「多分、おるるさんは、さっきのニュースに映っていた事件現場に行こうとしていたと思うんです」

さっきのニュースの映像では、窓ガラスの割られたラーメン店の店長が、テレビ局のインタビューに答えていた。おそらく、その店に向かったということだろう。
店はすぐに見つかった。そのお店は、街中に店長の顔写真付きポスターを貼っている有名店だったからだ。

店長に、小さい女の子が来なかったか、聞いてみる。

「ああ、確かに、小さい女の子が来ていたぞ。例の抗争の話を聞いてきたんで、その話をしてやったら、怒って、走って行っちまった」

それを聞いた睦は、

「その女の子が、どこに行ったかわかりますか?」

と聞く。すると、店長は、

「ああ、そのヤクザ同士が、ずっとあっちにある廃工場で決着を着けるらしいという話をしたときに走って行ったんだ。もしかしたら、その廃工場へ行ったのかもしれない。
 って、おい、危ないぞ! 決着を着けるのは今日って話だし、あの女の子が巻き込まれちまう!」

と言った。
こうしちゃいられない!

私たちは店長から廃工場の場所を聞き出すと、お礼を言い、廃工場に向かって走り出した。



廃工場は、意外と簡単に見つかった。
そこは、実写ヒーローものの番組で、ヒーローと悪人が戦う場所によくある風景っていえばわかりやすいだろうか。

私たちはこっそりと、塀の上から敷地内へ進入し、建物の中の様子を伺う。

叫び声や大きな音などはしない。本当に、中で抗争が行われているのだろうか?

建物の入り口を探してしばらく歩いていると、男の人が倒れているのが見えた。どうやら、気絶しているようだ。
そのすぐ横にも、さらにすぐ横にも、人がたくさん倒れている。何があったのだろうか。

巴が入口を発見して、小声で、

「あっちが入り口みたいです」

と言った。倒れている人たちは、その入口まで続いていた。誰かが、襲いかかってきた人たちをどんどん倒しながら、入り口まで走っていったということだろうか。
まるで、侍達をバッタバッタと切り捨てながら、悪代官のところまで進んでいく、時代劇の主人公のような…。

すると、入り口のそばの壁のでっぱりに、赤い石の付いた首飾りがひっかかっているのを見つけた。
これってもしかして…、

私がそれに手を伸ばそうとすると、睦が制止する。

「ちょっと待った。いちおう、人に憑依をする危ない石だからね。私が持つわ」

そういうと、睦はヒモの部分を摘み、上にあげる。
すると、赤い石がしゃべり出した。

「う〜む、失敗じゃった。いつもの調子で、悪者どもを倒しながら走っていたのじゃが…、あまりに暴れすぎたせいか、首飾りが外れてしまったようじゃのぅ。」

どうやら、首飾りが外れたことで、おるるの楓への憑依が解除されてしまったらしい。
睦は、

「で、楓はどうしたの?」

と問いただす。すると赤い石は、

「それが………、気絶した後、男衆に、この中に連れて行かれてしまったのじゃ」

と言い出した。

「あ、あんたってやつは!」

睦は首飾りをビュンビュンと振り回す。

「楓を危険な目に!」

振り回す速度が2倍になる。

「あわせやがって!」

首飾りに付いている赤い石が、弱い明滅を繰り返し始めた。

「や、や、やめぃ! 目、目が、目が回るじゃろうが!」

赤い石が悲鳴を上げる。

「反省しろ〜〜〜〜〜っ!」

睦が吠える。すると巴が、

「ちょ、ちょっと姉さん、やめて。中の人たちに気付かれちゃうよ」

と言う。それを聞いた睦は、

「そ、それもそうね」

と、首飾りを振り回すのをやめた。首飾りは「ふぅ〜」とため息をつくと、

「とりあえず、楓とやらを助けるのが先決じゃ」

と提案し、私たち3人は、こっそりと建物の中に入っていくことになった。


次へ / 目次へ

※このサイトは、着ぐるみ小説サイト「神緒のべるず」および、葦葉製作所頒布の小説「神緒のべるず 第1巻」、「神緒のべるず 第2巻(PDF版)」、Yuzu R.さんの再録本掲載の小説をWeb用に再編集したものとなります。一部は書き下ろしです。


関連サイト: 巫女ブラスター2 巫女ブラスター

葦葉製作所/トップ/小説目次