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2014.11.2
Ayacy's HP


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神緒のべるず 第9話 遊園地大戦 -4-



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上演予定であったヒーローショーの内容は急遽差し替えられ、「みこメイド戦隊 シュラインジャー」が上演されることになった。
下っ端役の、全身タイツの怪人たちが現れて、客席の最前列で見ていた子どもたちを連れ去り、「ヒーッ! ヒーッ!」と喜んでいる。
まぁ、子どもたちは笑って楽しんでいるのだが。

そこへ、私たちが現れて、「「みこメイド戦隊! シュラインジャー!」」と決めポーズ。
はっ…はずかしいっ!

神緒のべるず 第9話 遊園地大戦 挿絵会場中が「「おーっ」」とどよめき、戦いが始まる。

下っ端役の、全身タイツの怪人たちが、「ヒーッ」と言いながら襲いかかってくるのを、バッタバッタとなぎ倒していく。
一通り倒し終えると、会場に隅でスタンバイしていた、敵の首領役の女性が登場する。

「オーッホッホッホ。その程度のチカラで我々を倒すことができると思っているのでしたら、甘すぎますっ! 甘すぎますわっ!」

そう言うと、こちらに向かってビシッと指をさす。
顔には、仮面舞踏会なんかで使われる、目の周りを隠すタイプのハデなマスク(蝶々の形をしているやつ)を付けていた。ああ、あれ良いなぁ。顔がバレなくて。
そこで、楓ちゃんが耳打ちをする。

「今日は敵役の人も遅れているから、あの人も突然参加した人なんだって」

へぇ。そうなんだ。だから、あんなマスクをしているのね。
って、そういえば、あのヒーッヒーッ言っていた脇役たちも、もしかして突然参加の人たち? よく集められたなぁ。

「そこのお前たち! おしゃべりしている暇なんてあるのかしらっ!?」

蝶々マスク女が叫んでいる。…と、こっちを見たと思ったら、

「…って、よく見たら、アンタ! なんでこんなところにいるのよっ!」

と、急に驚いて叫びだしている。何かなと思っていたら、急にマスクを取り外す。今度は顔を見た睦が叫ぶ。

「アンタ! ガム工場の悪い人っ!」

「そう。西園寺麗華(さいおんじ れいか)よ。でもね、アンタたちのせいで、あの会社はクビになったから、今はフリー。妹が、ここの遊園地で働いていてね。そのツテで再就職したってわけよ。で、いきなり呼ばれたと思ったらコレ。……って、身の上話なんてどうでもいいのっ! これは堂々とアンタたちを痛めつけるチャンス! 最後にヒーロー側が勝つ話ばかりとは限らなくってよ!」

そういうと、床に倒れていた下っ端たちが、急にむくむくと動き出す。
人間の関節ってものを完全に無視した動き方だ。この人たち、骨はあるのかしら?

そう思っていると、下っ端たちが急に青い色に変わり、丸く変形しだした。

「すっ、スライム!?」

私が叫ぶ。
すると、西園寺さんは自慢げに

「そう。西園寺特製のスライム第2号ですのよ。今度のは、さっきも見たとおり、人型にだって姿を変えるし、声だって出せる。そして、こんなこともねっ!」

そういうと、スライムたちは一斉に、一カ所に集まりだした。
な、なんとスライムたちが……

合体して、一つの大きなスライムになってしまった。

楓ちゃんが思わず、「うわぁ、まるで、キング…」
と言いかけたところで、巴が制止し「まぁまぁ、それ以降は言わなくて良いからね」、と言っていた。
ナイス! 巴! 大人の事情ねっ!

西園寺さんの自慢げなトークは続く。
「この合体スライムはね。とっても火に強いんですのよ。だからね、アンタたちの火攻撃なんか、通用しませんのよっ!
 やーっておしまい!!」

合体スライムが、襲いかかってくる。
というか、高くジャンプして、こっちに落ちてくる。

「キャー」

客席からどよめきが走る。なんだかすごく盛り上がっているようだ。「スゴイ特撮技術だー」と、客席からは感嘆の声が聞こえてくる。
誰も、これが本物のスライムだなんて、思っていないんだろうな。

こりゃ、大変なことになった。さっきから睦が何度か攻撃をしかけているようだが、全く効いている様子はない。どうやら火だけでなく、あのブヨブヨの体には、通常攻撃も効かないようだ。

どうしようか、考えあぐねていると、巴がいきなり叫びだした。

「作戦ターイムっ!
 ヒーロー側は、一分間の作戦タイムを設けることができるのだっ!」

こんなアドリブショーでは、もはや言ったもの勝ちである。
それを聞いた西園寺側も、攻撃の手を休めた。どうやら了承したようである。

「了承よ。作戦を立ててらっしゃい。せいぜい、墓石に刻む名前でも決めてくるのねっ!」

西園寺さんったら、完全に悪役になりきっているな。
さて、1分間の余裕は得られた。とはいえ、何を決めれば良いんだろう…。




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※このサイトは、着ぐるみ小説サイト「神緒のべるず」および、葦葉製作所頒布の小説「神緒のべるず 第1巻」、「神緒のべるず 第2巻(PDF版)」、Yuzu R.さんの再録本掲載の小説をWeb用に再編集したものとなります。一部は書き下ろしです。


関連サイト: 巫女ブラスター2 巫女ブラスター

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