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2012.6.17
Ayacy's HP


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神緒のべるず 第12話 スワップ・アウト -2-



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「よし。OK。それじゃあ、出発しましょうねー」

メイド服を着させられた…。
いつもの巫女装束はボストンバッグに詰め込まれ、私は里桜にどこかへ連れて行かれようとしている。

「ちょ、ちょっと! ここで倒れている明日香はどうするのよ?」
「姉さんのことは、光大朗さんが見ていてくれるんだし。 だよね? 光大朗さん?」

里桜が、ドアの外で待機していた光大朗に唐突に話しかける。

「お、おぅ。見ておいてやる。どうせ、何もできそうもないがな。
 気をつけて行ってこいよ」

「はーい!」

里桜が元気よく返事をすると、私たちはそのままどこかへ出発することになった。



到着した場所は、住宅街の中の一件の家だった。

「いつも、私たちがここに来るときは、私と姉さんしかいないんだけど、今日は他にも何人かいるみたいだから」

里桜が私にそう言うと、呼び鈴を鳴らす。
しばらくすると、一人の男性が玄関から顔を覗かせた。

「あ、いらっしゃい。どうぞ、入って」
「お邪魔しまーす」

里桜がそう言って、私を引っ張る。

「あ、そうだ。この人、姉の代理できました。今日、姉が急に体調不良で来られなくなっちゃったもんで…」

里桜が男性に私のことを紹介している。
とりあえず、

「明日香の代理で来ました。睦と言います。よろしくお願いします。」

と挨拶をしておく。

「睦さんね。はじめまして。どうぞ。狭いけど入って待ってて」

そう言われて、中に入る。普通の玄関だ。
ちなみにさっきの男性は、このイベントの主催者の方なのだそうだ。里桜が教えてくれた。
私は里桜に連れられて、2階へ上がる。本当に普通の家みたいだけど…、ここでどんな『イベント』が行われるのかな?
改めて、里桜に説明を求めてみる。すると、

「あー、言っていなかったっけ? ごめんごめん。
 今日、ここでコスプレ撮影会が開かれるから」

こ、こすぷれ〜?
コスプレって、コスチュームプレイの略よね? 里桜も明日香も本業なんだから、コスプレでも何でもないじゃない?
まあ、私がメイド服を着るのは、いつものことじゃないけど…。

私たちが部屋に入ると、そこにはすでに数人の女性が待っていた。
私と里桜は軽く挨拶を済ませる。おとなしく座って待っている子もいれば、なにやらぴょんぴょん跳ね回っている子もいて、なんだか色々だ。

しばらくすると、先ほどの主催者の男性がやってきて、今日のイベントの説明をしてくれた。
この場所が着替え室兼撮影場所ということで、主催者が出て行ったあとに着替えが行われる。

私と里桜は、すでに着替えが済んでいるため、座って待っていたわけだが、里桜が私の顔を見て、ふと首をかしげる。

「あれれ? 睦さん。 カチューシャ、どこかに落としちゃった?」

ふと私が頭に手をやると、たしかに、さっきまで着けていたはずの、白いフリフリの付いたカチューシャが無くなってしまっていた。

「どこ行っちゃったのかしら?」
「おっかしいねぇ。さっき、この部屋に入った時には、着いていたと思うんだけど…」
「ってことは、あるとしたらこの近くかな」

私と里桜が周囲を探し始めるが、見つからない。というか、この部屋に入ってから、ほとんど動いていないので、あるとしたらすぐ近くのはずなのだが…。

「しょうがないか。私が持ってきている予備のを貸したげる」

そういうと、里桜が自分のバッグを探り出す。

「はい、これ」そう言いながら、里桜が予備のカチューシャを渡してくれた。しかし、
「でも、おっかしいなぁ」と言いながら、里桜は自分のバッグの中を再び探っている。

「予備のエプロンが一着、なくなってる…」


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※このサイトは、着ぐるみ小説サイト「神緒のべるず」および、葦葉製作所頒布の小説「神緒のべるず 第1巻」、「神緒のべるず 第2巻(PDF版)」、Yuzu R.さんの再録本掲載の小説をWeb用に再編集したものとなります。一部は書き下ろしです。


関連サイト: 巫女ブラスター2 巫女ブラスター

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