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2021.1.12
Ayacy's HP


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神緒のべるず 番外編その1 疑似マルチコア -3-



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 先生が、ワープロソフトの使い方について、わかりきった説明をしている。
 コントロールキーを押しながらスペースキー?? ……誰もそんな面倒くさい使い方なんてしないわよ。

 と、姉から返信が返って来た。
 そこにはソフトの名前とURLが書かれている。どれどれ…行ってみますかね。

 カチカチカチ、っと、ポチッとな…。
 キーボードから、私が最近自らに課している自分ルール「両手の親指・人差し指・中指」の6本だけを使って打ち込む」に従って華麗にURLを打ち込み、Enterキーを押す。

 う〜ん、これは…!
 「疑似マルチコア」だって!

 ジョークソフトだね。
 「世界をお救いください…。」とか書いてあるし…ぷぷぷっ、笑っちゃう。

 で、姉はこのジョークに、すっかりダマされたわけである。
 ふぅ…。どうしたもんかなぁ…。

 とりあえず、本当のことを教えてやるか…と、携帯電話に手を伸ばそうとするが…、 ん? ちょっと待てよ?
 私はあることを思いついた。

  仕 返 し だ 。

 私は小さい頃から、「指導」と称して、それはもう、姉に散々「かわいがら」れて来たのである。どれくらいかというと、そうね。例えば、修行をほったらかして、ひょうたん型の島に単身逃げ出すくらい。
 これは、私が姉に仕返しをするために、神様が与えてくれたチャンスなのだ。
 最大限に生かさなければ。

 私は、わざと、しばらく間を置いてから、携帯電話を握りしめる。
 そして、メールを作成して、送信する。

 「お姉ちゃん! 今、高校のコンピュータ室にいるんだけど、なんか、パソコンの様子が変なの。画面がピカピカ光って……なんか、私たちを襲おうとしているみたいに…。あっ! お姉ちゃん! 助けてっ!!」

 実際そんなことがあったら、メールなんて打っている場合じゃないっつーの。
 姉の慌てふためく様子が目に浮かぶ。モニタに映った私の顔が、なにやらニヤニヤとにやけているのが見えて、慌てて素の顔に戻す。こんなところを先生に見られたら、何を言われるかわかったものじゃないでしょ。
 すると、姉からの返信メールが飛んできた。
 「何があったの? 詳しく教えて? 待ってて、今から飛んでく」

 え? 何? 飛んでくる?
 ちょ、ちょっと待て…。姉なら「アレ」を使って本当に飛びかねない…。
 平和な高校の上空を飛ばれたら、大惨事じゃん。翌日の新聞に載っちゃうよ。
 ヤバ、どうしよ。どうしよ…。


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※このサイトは、着ぐるみ小説サイト「神緒のべるず」および、葦葉製作所頒布の小説「神緒のべるず 第1巻」、「神緒のべるず 第2巻(PDF版)」、Yuzu R.さんの再録本掲載の小説をWeb用に再編集したものとなります。一部は書き下ろしです。


関連サイト: 巫女ブラスター2 巫女ブラスター

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