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2012.6.18
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神緒のべるず 番外編その1 疑似マルチコア -4-



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 まずは、姉が空を飛んできたとして、それが一般生徒に目撃されるのを最低限に留めなければならない。そのためには私が、上空から見たときにちょっと目立った場所にいて、そこに引きつけて…。

 「先生っ!」
 「なっ! なななんだ神緒?」

 私は席を立って、先生に向かって大きく手を挙げる。

 「私、お腹が痛いんで、ちょっと保健室へ行ってきます!」

 授業中、いきなり大きな声を上げるもんだから、先生はビックリしている。

 「そ、そうか。保健委員はいるか? 一緒について行ってやれ」
 「い、いえ。結構です。一人で行けます。」

 そういうと、私は大急ぎで教室の後のドアから廊下へ出る。
 誰かが一緒に来るのは、非常にマズイ。
 廊下へ出たところで、ふぅと息を吐き、心を落ち着かせる。ここからが肝心だ。
 私は屋上へ行こうとする。姉は目が良いので、私が屋上にいれば、すぐに見つけてくれるだろう。

 しかし、気付かなかったら? ゾッとする。
 もし気付かなかったら、校門あたりから中に入って、それはもう、大変な騒ぎになるに違いない。空を飛んで巫女型宇宙人あらわる。しかも、マシンガンを片手に廊下を駆け回って。もしかしたら不審人物として逮捕。投獄。死刑? 明日の新聞の一面に、そんな文字が踊るかもしれない。それは某スポーツ新聞みたいな怪しい新聞なんかではなくて、一般大衆向けの新聞に載るのだ。万が一にも、そういう事態は避けなければならない。

 そういえばこの間の化学の授業で、マグネシウムを燃やしたらスゴイ光が出たのを思い出す。ああ、それだ。それで目立たせよう。
 屋上の前に、化学準備室へ行かねば。

 私は化学準備室へ忍び込んだ。隣の化学室では授業中であるため、コッソリと。ドアを小さく開け、体を滑り込ませるようにして化学準備室の中に入ると、薬品のツンとしたニオイが、鼻を突き上げる。あんまり好きなニオイじゃないんだよなぁ。

 マグネシウムを探そうとすると、すぐに見つかるところに置いてあった。最近の授業で 使われるものだからなのか、見つけやすい場所に、かなりまとまった量で置いてある。
 私は、そこに置いてあったマグネシウムを大量に拝借する。
 ごめんなさい。これも、世界と姉の平和のため…。

 これで準備完了だ。私は屋上へ向かうことにした。



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※このサイトは、着ぐるみ小説サイト「神緒のべるず」および、葦葉製作所頒布の小説「神緒のべるず 第1巻」、「神緒のべるず 第2巻(PDF版)」、Yuzu R.さんの再録本掲載の小説をWeb用に再編集したものとなります。一部は書き下ろしです。


関連サイト: 巫女ブラスター2 巫女ブラスター

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