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2021.1.12
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神緒のべるず 番外編その1 疑似マルチコア -6-



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 「もっ、申し訳ございません! ほ、ほら、楓も頭を下げろってんでしょ!」
 「ご、ごべぶな゛さ゛い゛…」

 私は理事長室で姉と共に、床に正座して謝っている。姉は土下座。そして、次に私の頭を床にグイグイ押しつけて謝らせている。

 「神緒さんは、元気なのは良いことなんですが、ここまで元気すぎるというのも、
  ちょっとねぇ…」

 穏やかな理事長(女性)が、オホホホと笑いながらお茶をすすっている。その横で教頭先生が厳しい表情でこちらを睨んでいる。

 「この前は、プールの水を全部抜いて、さらにその前は、北校舎全面を真っ赤に染めて……そして今度は、南校舎の屋上をブチ抜きですか……」

 教頭先生が私の過去の犯罪歴をつらつらと並べ、そして姉が土下座し、姉は私の頭をグイグイ床に押しつける。

 「まったく。理事長があなたのお母様と懇意な間柄だったということでなければ、これで即刻、退学処分にするところなんですよ!お母様と、それから理事長の寛大なお心に感謝するんですね!」

 それから1時間にわたり怒られ続け、姉は土下座をし続け、私は床に頭を押しつけられ続け、理事長はズズズズとお茶をすすり続けた。
 永遠に続くかと思われたお叱りタイムが終了し、私たちは解放される。
 色々な人のおかげで、退学はおろか、停学も休学も免れたのであった。

 気が付けば外は夕方。カラスがカーカー鳴いており、もう帰宅時刻であることを告げていた。空は真っ赤に染まっていたのだが、そのとき姉の顔も真っ赤に染まっていたことは、そのとき気付かなかった。

 姉は私の前を歩き続け、私は後からトボトボと歩いている。

 「ご、ごめんなさい…」

 姉は黙ってどんどん歩き続けている。私は後から付いていくしかない。
 自分の教室の横を通りかかったので慌ててカバンを回収し、そのまま昇降口で靴に履き替え、校舎の外へ出る。姉の後を付いて。
 姉はズンズン歩いて行く。その後を付いて、校門から外へ出たとき、姉はくるっとこちらを振り返った。そして、手のひらで私の頭を掴むと、グイグイ左右に揺すり、

 「まったく〜、学校に姉を呼び出すとは、寂しかったのかぁ!?」
 「イタイイタイイ゛タ゛イ゛イ゛タ゛イ゛イ゛タ゛イ゛…!」

 まったく、しょーがないなーという表情をして、こちらを見ていた。

 「何があったんだか、知らないけど。あんまり授業がつまらないからって、大騒ぎを起こすんじゃないぞっ!」

 姉は私の頭から手を離すと、そういって、ニッと笑った。
 私も、少しホッとして、ゆっくりと、笑った。
 そして今夜の夕食は何にしようとか、どうせ今日も巴姉さんの帰りは遅くなるよねとか、普通の会話をしながら帰宅した。



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※このサイトは、着ぐるみ小説サイト「神緒のべるず」および、葦葉製作所頒布の小説「神緒のべるず 第1巻」、「神緒のべるず 第2巻(PDF版)」、Yuzu R.さんの再録本掲載の小説をWeb用に再編集したものとなります。一部は書き下ろしです。


関連サイト: 巫女ブラスター2 巫女ブラスター

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