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2021.1.12
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神緒のべるず 番外編その4 真・疑似ごみ箱 -2-



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「というわけなの」

寝室で寝ていた2番目の姉、巴姉さんに、さっき蔵の中で見つけた箱について説明する。

「ふ〜ん」

不機嫌そうな顔で頭をボリボリ掻いている巴姉さん。昨日は土曜日だったが仕事があり、しかも仕事終わりに飲み会があったとかで、夜遅くなり、こうしてさっきまで寝ていたというわけだ。
二日酔いと寝起きの悪さで不機嫌な表情をしているわけだが、元来の巴姉さんはやさしい人のはずだ。

「キレイな黄色い矢印ねぇ」

巴姉さんが寝ぼけて変なことを言っている。矢印は青いでしょうに。
それを指摘しようとすると、巴姉さんの表情が険しく一変する。
ん?

「お」

お?
巴姉さんが、変な声を上げる。何かに気づいたのかな? あるいは、何か変なことを言われるのか? とドキドキしていると……。

「おえぇぇぇ〜〜〜〜〜!」

ひ、ひやぁぁぁぁ!
そうだった。二日酔いだったんだっけ。巴姉さんのリバースが炸裂する!
しかし、それは目の前の箱の中へ。巴姉さんから出てきた「ソレ」は、箱の中へ落ち、そして、キレイさっぱりなくなってしまった。

「ふむぅ……。効果は抜群のようね」

巴姉さんは、それだけ言うと、再び布団の中へ潜り込んで寝てしまった。「くー」と静かな寝息を立てている。もう寝てしまったようだ。

「そ、そうみたいだね……」

私はそれだけ言うと、箱を持って廊下へ出て、ふすまをそーっと閉めて、巴姉さんの部屋から退出した。
巴姉さんの、身を挺した実験によって、この「スーパーごみ箱」(さっき命名)の効果はより確実に確かめられた。

蔵の中で見つけた、この「スーパーごみ箱」は、偶然にも入ってしまった冷蔵庫(スーパーごみ箱より大きいはずだが、なぜか入った)を始め、古い扇風機、ノートパソコン、タンス等々、色々と飲み込んでは、キレイさっぱり消してしまった。ノートパソコンなどは、まともにゴミに出そうとしたならば、家電リサイクル法のせいで余計な出費があっただろう。それを考えると、この「スーパーごみ箱」は、すごいアイテムである。

そして今回のこれである。これって実は、ご先祖様が残してくれた、すごいアイテムなんじゃないだろうか。
私は改めてまじまじと、箱を見てみた。

緑色の箱には、赤い3つの矢印がキレイに輝いていた。


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※このサイトは、着ぐるみ小説サイト「神緒のべるず」および、葦葉製作所頒布の小説「神緒のべるず 第1巻」、「神緒のべるず 第2巻(PDF版)」、Yuzu R.さんの再録本掲載の小説をWeb用に再編集したものとなります。一部は書き下ろしです。


関連サイト: 巫女ブラスター2 巫女ブラスター

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