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2021.1.12
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神緒のべるず 番外編その4 真・疑似ごみ箱 -3-



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あれ? この矢印って赤かったっけ?
箱の前面には、赤い矢印が輝いている。というか、点滅している。

さっきまでは青かったと思うし、巴姉さんは黄色かったと言っていた。もしかしたら、これは何かの状態を表しているんだろうか?

もしや……?と思い、倉庫へ戻る。
こういう不思議アイテムは、神緒家のご先祖様がお作りになったスーパーアイテムである可能性が高く、その場合、対応する説明書が倉庫に眠っている可能性が高い。

倉庫へ行き、この「スーパーごみ箱」が置いてあった場所の近くを確認してみると………、あった。これだ。
私は1つの巻物を取り出す。おそらくこれが、説明書なのだろう。
中を確認してみる。

要約すると、次のようなことが書かれていた。

「これは、薬を調合するための装置である。
 この世界の基本的な構成要素である『火・花・木・水・氷・葉・鉄』を、決められた割合で配合すると、世の中のあらゆる病気を治すための薬を調合することができる。
 ただし、決められた配合量を間違えたり、これら以外のものを入れた場合、悪魔の化身が現れて、逆に世の中を病気だらけにしてしまうだろう。心して扱うべし」

え、えーーーーーっ!?

私が入れたものっていうと、タンスがかろうじて「木」だったとしても、それ以外はプラスチックだったり、半導体だったり、……巴姉さんなんかとんでもないもの入れちゃったし……、どぉーしよぉーっ!!
箱の前面の矢印は、赤く怪しく点滅している。
なんとなく、点滅が早くなっているような気がするのだが、気のせいだろうか。

いや、気のせいのハズがない!
うわぁぁぁ。町中病気になっちゃう!

私は箱を持ったまま倉庫を飛び出し、あちこち走り回る。無意味に走り回る。うわぁ、どうしよー、どうしよー!

その様子を、ちょっと外出していた睦姉さんがちょうど帰宅し、怪しげな表情で見ていた。

「おーい、楓〜。なにやってんのよ!?」
「お、お、お、おお姉ちゃーん。な、なんとかしてぇぇぇ〜」

私は睦姉さんの方へ走っていく。箱を持ったまま。

「あんた、ちょっと落ち着きなさい」
ドテッ!

睦姉さんが私に足をかけ、私が前につんのめって転ぶ。
私の右手を離れた箱が宙を舞い、同じく私の左手を離れた巻物も宙を舞い、睦姉さんの左手と右手の中にそれぞれキャッチされる。

「どれどれ…」

睦姉さんが、箱と巻物を交互に眺め、次に巻物の中を読み、「ふむふむ…」と勝手に納得する。

「なーんだ、そういうこと…。簡単じゃん」
へ? どういうこと?

「悪魔の化身が現れたところを見計らって、倒しちゃえばいいのよ」


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※このサイトは、着ぐるみ小説サイト「神緒のべるず」および、葦葉製作所頒布の小説「神緒のべるず 第1巻」、「神緒のべるず 第2巻(PDF版)」、Yuzu R.さんの再録本掲載の小説をWeb用に再編集したものとなります。一部は書き下ろしです。


関連サイト: 巫女ブラスター2 巫女ブラスター

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