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2021.1.12
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神緒のべるず 第1話 ミィちゃんを探せ -2-



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「ミィちゃーん、居るなら出てきなさーい。おーい」

30分くらい探して歩いただろうか。一向に見つかる様子はない。

都心からちょっと離れた場所とはいえ、町のあちこちには、まだ自然が残っているし、家と家の隙間で暗くなっているところも結構ある。そういうところをひたすら覗いていく作業は、思った以上の重労働だ。

寒いし、そろそろ疲れてきた。
そもそも私たちは探偵業なんてほとんどやったことがないから、ペット探しのコツも実はあまりわかっていなかったりする。
追加の情報をマミちゃんからもらったほうが良いかもしれない。

「ところでマミちゃん。ミィちゃんなんだけど、どれくらいの大きさなの?」
「う〜ん、1メートルくらいかなぁ」
「そう、1メートルね」

・・・?

「1メートルって? そんな大きな猫なの?」
「猫じゃないよ。ヘビの巳ぃちゃん。丸まるとすっごくかわいいんだ」


え? ヘビなの? ヘビだったの?
里桜をこっちに手招きする。

「ちょ、ちょっとアンタさっき猫だって言ってたじゃないの。どういうことなの?」
「そ、それは、ミィちゃんって聞いて、てっきり猫だと思ってて・・・姉さんだってそう思ったでしょ」
「そ、それはそうだけど・・・どうするんのよ。ヘビなんて見つかっても」
「あたしだって、ヘビなんか可愛くなんかない〜〜〜! っていうか嫌い〜〜! 触ったら気絶する〜!」
「そういえば、近所の神社に魔法みたいなパワーで問題解決をしてくれる親戚が住んでるじゃない? 頼んでみる?」
「あの人も、大のヘビ嫌いだって言ってたじゃない!」


私たちが小声で話していると、マミちゃんが「どうしたの?」みたいな顔をしてこちらを見ている。
どうやらヘビに対する考え方は、私たち姉妹とマミちゃんの間では共有できないらしい。

私は急に不安になってきた。
「そもそも猫探しだって私たちには微妙だっていうのに、ヘビ探しだったらもっと微妙でしょ」
「それはそうだけど…。姉さん、こうなったら、すなおに光大朗さんに相談したほうが良いかもしれないね」
「そ、そうね…。タダ同然の仕事を持ってきちゃったと、怒られるかもしれないけど、そうしたほうが良いかもね」

私はマミちゃんに
「そろそろ寒くなってきたし、いったん事務所に戻ろうか。体制を立て直しましょうね」
と説明し、事務所まで戻ることにした。

事務所に戻ってきてしばらくすると、光大朗さんが帰ってきたので事情を説明する。

「お、おまえらなぁ…。まぁ俺も他人のことは言えないけど。
 まぁしょうがない。それで、お嬢ちゃん、最後にミィちゃんを見たのはどこなんだい?」

結局は、光大朗さんもお人よしなんだな。v
「はい、最後に見たのは…家の…マンションなんですけど、部屋の中で見ています。
 その後、コタツの電源を切って、夜に寝て、朝起きてみたら居なくなっていたんです」

すると光大朗さんは険しい顔をして、
「そうか、そうなると、ちょっとヤバいことになっているかもしれないな」
とつぶやいた。

私は
「光大朗さん、心当たりでもあるんですか?」
と聞くと、
「いやぁな。前にテレビで観たことがあるんだが…、まぁ、そのマンションまで連れて行ってくれないか。急ぎだ」
とマミちゃんに言った。

というわけで、私たちはマミちゃんのマンションに急行することになった。


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※このサイトは、着ぐるみ小説サイト「神緒のべるず」および、葦葉製作所頒布の小説「神緒のべるず 第1巻」、「神緒のべるず 第2巻(PDF版)」、Yuzu R.さんの再録本掲載の小説をWeb用に再編集したものとなります。一部は書き下ろしです。


関連サイト: 巫女ブラスター2 巫女ブラスター

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