2022.7.18
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神緒のべるず 番外編その5 疑似ダッシュボードPro -2-
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海に遊びに来た。
そして今年も友達に提案する。
「あの島とここを往復して、早く帰ってこれたほうがパフェをおごるってのはどう?」
いいね!と同意してもらった。
あとは、どうやって、こっそりとビート板を使うかだ。
手に持って使ったら絶対にバレるだろう。v
…となると。
水着の背中の部分に仕込んだ。
「これでバレないはず…!」
よーい、ドン!
とりあえず、全身が水の中に浸かる位置まで進む。
さぁ、ダッシュボードよ!前に進んでおくれ!
……。
………。
あれ、進んでくれない。なんで?
ほら、前に進むのよ!、ほら!
私は背中に手をやり、ダッシュボードをバンバン叩いた。
すると、ダッシュボードはブルブル震えて…。
すごい速度で前に進みだした。
「うわ! きゃ!」
ダッシュボードの突然の勢いに驚き、身体が縦に一回転したかと思うと、ダッシュボードは私の水着だけを連れて、沖の方へすごい速さで進んでいった。
それを見守る私…。あっけにとられる私……。
「……。」
ヤバイ。水着だけがあっちに行っちゃった。どうしよう…。私、今、何も着てない…。
「ちゃんと水泳の修業をしておけばよかったと、後悔する楓であった」
って、そんなんじゃ終われない!どうやって帰ったらいいのよ!
と、さっき、上からナレーションみたいな声がしたな。
上を見上げてみると、タマの首根っこを捕まえた睦姉さんが浮いて行った。神具でふわふわ飛んでいる。
「楓。また変なことしたわね。そして、コイツが変なことを吹き込んだわけね」
睦姉さんはタマちゃんをぽーいと沖の方に放り投げた。
「なんで海ではオイラだけ酷い目に遭うにゃー!!」
タマちゃんの悲鳴を遠くに聞きながら。
「今回だけだからね」
と、睦姉さんが予備の水着を渡してくれた。
ちゃんと水泳の修業をしておけばよかったと、後悔する楓であった。
- おしまい -
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※このサイトは、着ぐるみ小説サイト「神緒のべるず」および、葦葉製作所頒布の小説「神緒のべるず 第1巻」、「神緒のべるず 第2巻(PDF版)」、Yuzu R.さんの再録本掲載の小説をWeb用に再編集したものとなります。一部は書き下ろしです。
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