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2021.1.12
Ayacy's HP
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神緒のべるず 第3話 御神楽IT革命 -3-
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「ハイ、目を開けて良いわよ」
私は目を開ける。周囲は、緑色だか、オレンジ色だか、ほわほわした色が漂っていて、目の前には睦がいる。
「パソコンの中へようこそ!」
睦がよくわからないことを言っているが、周りを見ると……、なんかそんな感じがする。
おいおい、そりゃないでしょ。
「はぁ〜!? あんた、なんてトコロに連れてきてくれちゃってんのよ!」
ミュ〜っ
「まあ、こうやってズバっと解決しちゃった方が、早いことがあるんだって」
ミュ〜っ
「そんなこと言ったって、右に行ったらいいのか、左に行ったらいいのかもわからないし…、ここから出る方法だってわからないじゃない!」
ミュ〜っ
「ん〜っと、ほら、あそこにミュ〜って飛んでいる黄色いヤツに聞いてみようか。
そこのミューさん、ちょっと」
「なんですミュー? おやおや、見かけないオブジェクトですミューね」
「まぁね。私たち、ちょっと通りすがりで。それでね…えっと…」
睦が言葉に詰まる。結局、どうしたら良いかわからないんだ。
私は、とりあえず手帳にメモした内容に目を通す。
「ウイルス『ディアーホース.A』は、サービスとして常駐し、オンラインゲームのパスワードを盗もうとする、か」
睦にそのことを伝える。
よくわからなかったらしいが、サービスが常駐云々を伝えたら、黄色いヤツが案内してくれることになったようだ。
「こっちですミュー」
何分かかけて移動すると、目的地にたどり着いたようだ。
「ここですミュー」
ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!
あぁ、いるいる。黒い、馬と鹿が合わさったようなバケモノみたいなのが、オンラインゲームのパスワードを探して、でかい足音を鳴らしながらウロついているようだ。
ただ、残念ながらこのパソコンにオンラインゲームなんて入っていない。無駄に探しているわけだ。
睦がバケモノに話しかける。
「あぁ、そこのウイルスさん。悪いんだけど、ちょっと出て行ってくれませんかね」
「うおぉぉぉ〜〜〜! 邪魔をするなぁぁぁぁ〜〜!」
ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!
ああ、うるさいうるさい。そんなに騒ぐこともないだろうに。
「おまえら、そんなに邪魔をするなら…」
バケモノは今にも襲いかかってきそうな感じだ。
睦は意を決したようにつぶやく。
「仕方ないか、平和的に話し合いで済まないなら…」
睦は青い札を一枚取り出し、頭上にかかげる。
「大地の精霊達よ! 我に仇なすものに炎の裁きを!」
……。
……。
し〜ん。
何も起きないようだ。私はハッと気付いて睦に教える。
「ここ、パソコンの中の世界だし、大地も無ければ精霊もいないんじゃ…。」
「あ、そういえばそうね。失敗失敗」
失敗に気付いたバケモノが、こちらに襲いかかってくる。
「お前らの攻撃はそれで終わりかー!」
ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!
「んなわけないでしょうが!」
睦は、次にマシンガンを取り出す。霊弾を放つマシンガンだ。
パパパパパパパパ……。
バケモノの体に命中! 効果があったようだ。
「う、うお! なんだ! 体に穴が…!
うおぉぉぉぉぉ」
ドカーン!
バケモノは少しの間苦しみもがくと、爆発して消えてしまった。
どうやら駆除完了のようだ。
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※このサイトは、着ぐるみ小説サイト「神緒のべるず」および、葦葉製作所頒布の小説「神緒のべるず 第1巻」、「神緒のべるず 第2巻(PDF版)」、Yuzu R.さんの再録本掲載の小説をWeb用に再編集したものとなります。一部は書き下ろしです。
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