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2021.1.12
Ayacy's HP
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神緒のべるず 第7話 お姉ちゃんの誕生日 -3-
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「へ? 誕生日プレゼント?」
里桜に事情を説明し、助言を求めてみる。
「そうねぇ〜。あたしだったら、無難に、花束とか、あと手作りクッキーとか。
睦さんだったら、手作りクッキーの方が喜びそうかな。材料なら、たしか、うちに残っていたはずだし…」
そういうと、冷蔵庫から無塩バターを取り出す。棚に薄力粉も入っていた。
なんとかなりそうだ。
「とりあえず、バターは外に出しておくから。それじゃ」
そういうと、里桜は再び外出していった。何か外で用事があるようだ。
私は楓ちゃんに聞いてみる。
「手作りクッキーもいいわね。どうかしら?」
「うん、そうしよう。クッキーならお姉ちゃんも絶対喜ぶ!」
「それじゃあ、バターが良い温度になるまで、ちょっと待ってから、一緒にクッキーを作りましょうか」
「はぁ〜い!」
それを聞くと、とりあえずバターを溶かすためのお湯の準備に取りかかる。
そういえば、私がクッキー作りをするのって、久しぶりだなぁ。
「できたー!」
事務所内に、楓ちゃんの喜びの声が響き渡る。
途中、楓ちゃんは、材料を加えすぎたり、かき混ぜすぎたり…アクシデントがなかったわけではないが、なんとか完成させた。
1個、つまんで、味見をしてみる。味は問題なさそうだ。
楓ちゃんも、1個つまんで、味見をしている。すると、うれしそうな表情で、
「うわぁ、すごい。明日香さん、ありがとう!」
と言った。
私は「どういたしまして」と言いながら、完成したクッキーを袋に入れると、それを楓ちゃんに渡す。
「それじゃあ、睦の誕生日プレゼントね。自分で食べちゃ、ダメだからね」
「はぁ〜い!」
楓ちゃんはクッキーの袋をカバンに入れると、クッキーが割れないように、そーっとカバンを閉める。そして、楓ちゃんは
「明日、かえでが学校から帰ってきたら、これをお姉ちゃんに渡すんだ。
それまで、バレないように、どっかにしまっておかなきゃ」
そういうと、姉にプレゼントを渡したときの反応を想像してか、なんだかワクワクしているようだ。
「気をつけて帰るのよ。それじゃあね」
「はぁ〜い!」
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※このサイトは、着ぐるみ小説サイト「神緒のべるず」および、葦葉製作所頒布の小説「神緒のべるず 第1巻」、「神緒のべるず 第2巻(PDF版)」、Yuzu R.さんの再録本掲載の小説をWeb用に再編集したものとなります。一部は書き下ろしです。
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