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2021.1.12
Ayacy's HP
2021.1.12
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神緒のべるず 番外編その3 疑似スクリーンセーバー3D -4-
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「オイラ、この前レンタルビデオ屋に行ったニャ」
「知ってるわよ。どうせエッチなビデオでも借りに行ったんでしょ」
「うっ、そ、そんなことないにゃ。えん罪にゃ。有り得ないことにゃ」
「『ニャ』が、ひらがなになってるわよ。動揺してる」
「そ、そんなことないNYA! オイラは定期的に表現を変えているNYA! オイラは世紀の大表現者NYA!」
「ハイハイ、それで。それで?」
「それで、美しいオンナの人が飛び出してくる、興味深いビデオがあるというので、借りてみることにしたんニャ」
「やっぱりエッチなビデオを期待していたんじゃない?」
「だっ だから、そんなことないニャ! 人権、いや、猫権侵害ニャ! 訴えるニャ!」
「ハイハイ、先に進めましょ」
「っていうか、オイラ一人でビデオを借りられるわけないニャ!」
「そっか、巴姉さんに付いていってもらったのね? それで?」
「そうニャ。でも、借りようとしたら、『え? こんなものを借りるの?』って怪訝そうな顔をされたニャ。でもオイラ、そのときには気づかなかったんニャ」
「何を?」
「………実はそのビデオ、呪われたビデオで、ホラー物の映画だったニャ!
………来るニャ!きっと来るニャ………………!」
あー、あれか。だいぶ前に流行った、ビデオを見た後に、何日以内に他人に見せないと、その人が呪い殺されるとかいう映画ね。たしか、ロード・オブ……なんだっけな。タイトルを思い出せない。ちなみに「来る」とか、「きっと来る」とかいうのは、ちょっとした聞き間違えでそう思って居る人が多い、なんてのをネット豆知識で見たっけな。
「で、トラウマな話をしてくれてありがとう。それが何のソリューションになるのかしら?」
「ムッ。オイラはタイガーでもホースでもないニャ。キャッツ!ニャ!」
なぜ複数形!? でも、ツッコミを入れていると話が進まないので、あえてツッコミを入れずに話を進めてもらう。
「その経験から、オイラはヒントを得たニャ。あのテレビから出てくる妖怪。まさに3Dと言えるんじゃないか?ってことニャ。妖怪パワーを使えば、あんなこと造作もないことニャ!」
なるほど…。
妖怪パワーをどう使うんだかよくわからないけど。
「今まさに『妖怪パワーをどう使うんだかよくわからないけど。』と言いたげな顔しているニャ? これを使うんだニャ」
タマは首にかけていたアクセサリーのようなものを、器用に投げて寄越す。
投げられたアクセサリーのような物は、ひもの付いたUSBメモリーだった。
「そのUSBメモリーに、オイラの妖怪パワーを仕込んだプログラムが入っているニャ。それをサーバに仕込めば完璧ニャ!」
「あんた、やるじゃん!」
私はタマの頭をくしゃくしゃ、と撫でてやると、さっそくPCにUSBメモリを刺し込む。
中に入っていたCGIのプログラムファイルをドラッグしてサーバにアップロードしてみる。その間、聞いてもいないのに、タマが雄弁に語り始めた。
「インターネットにはハブやらルータやら、電気信号を増幅させる装置がたくさんあるニャ。電気信号と妖怪はすごく相性が良いから、増幅装置を通って、3D妖怪が増殖して、サイトを見るヤツのPCに入って3D効果を見せるニャ。これは特許出願予定、オイラは発明王! 全人類が、妖怪を使ったソリューションでイノベーションを起こすんだニャ!」
なんか、タマがうっとりした顔をしている。こんなときばっかり癒し系の顔をしやがって。
なにはともあれ、これで姉のご機嫌とりができて、一段落だ。
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※このサイトは、着ぐるみ小説サイト「神緒のべるず」および、葦葉製作所頒布の小説「神緒のべるず 第1巻」、「神緒のべるず 第2巻(PDF版)」、Yuzu R.さんの再録本掲載の小説をWeb用に再編集したものとなります。一部は書き下ろしです。
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