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2014.11.2
Ayacy's HP


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神緒のべるず 番外編その2 疑似クラウド -4-



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 ここは上空。雲が下に見える位置。
 風がビュービュー吹いている。姉は、私のクビの後ろを掴んだ状態で、神具の力でプカプカ浮いている。

 「さぁて、楓ちゃん! クラウドの力ってヤツを見せてもらおうじゃないの!」
 「ひ、お、お姉、ひぃぃぃぃぃぃぃ!」

 姉の顔を見ると、目は最悪に開かれ、唇が最凶にゆがんでいる。
 これは人間の作る表情じゃない! 悪魔の表情だ! 私を落とす気だ!
 お、落ちるのはイヤぁぁぁぁ!

 「知っているかしら。楓。重力に逆らわずに自由落下すると、人間は浮いたような気分になるらしいわよ。なんでだかわかる?」

 ふるふるふる。首を振る。知らない。

 姉は最悪の目で私を見下し、静かに、いじわるなクイズ司会者みたいに答えを言い始める。

 「それはね、楓。魂が死を覚悟して幽体離脱しちゃうからよぉぉぉ〜!」

 ひぃぃぃぃ。んなことあるか〜!

 そう思ったが早いか、姉の手が離される。


神緒のべるず 番外編その2 疑似クラウド 挿絵

 私は自由落下する。

 顔にすごい勢いで風が当たる。痛い。目を開けていられない。あ、これか、ちょっと浮いている
 気分。下りのエレベータを最強にしたような…・・・って、落下ぁぁぁぁ。

 「ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!」

 パシっ。
 あれ?

 誰かに抱きかかえられたような感じがして、落下速度が弱まる。
 ん? この感じは…。

 巴お姉ちゃん…。

 「もう、まったく…。睦姉さんへのイタズラは、ほどほどにしておきなさいね。会社からいきなり家に連れ戻されたかと思ったら、クラウドってなんなの〜?って根掘り葉掘り聞かれて。こんなことまで手伝わされて…」

 ブツブツと文句を言っている巴お姉ちゃん。彼女は私の下の姉であり、会社員をしていて、この時間は普段は家にいないはずなのだが、睦姉に呼び出されてここにいるようだ。
 助かった…。
 巴お姉ちゃんも、神具の力でプカプカ浮いている。そこへ、上から睦姉が降りてきた。

 「ふぅっ。楓に大恥をかかされるところだったわ。それにしても、ジェットコースター嫌いって、まだ治っていなかったのね。楓。神具で空を飛ぶのは大丈夫なのに、なんでこういうのは苦手なのかしら…」

 「そんなの、わかんないよぉ」

 私は涙目になってふて腐れる。と、睦姉は、何かにひらめいたように、ポンっと手をたたく。

 「そうか! 修行が足りないのよ。おっ! エネルギーゲージを見てみれば、神具のエネルギーは、あと2分くらいは保つわね。じゃあ、あと2分間、自由落下でジェットコースター嫌いの克服修行をしましょう!」

 そういうと睦姉はニタリと笑い、私のクビの後ろを掴んで再び上昇。

 「い、いやぁぁぁぁぁぁぁ!」

 神社の上空に、私の叫び声がこだまするのだった。




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※このサイトは、着ぐるみ小説サイト「神緒のべるず」および、葦葉製作所頒布の小説「神緒のべるず 第1巻」、「神緒のべるず 第2巻(PDF版)」、Yuzu R.さんの再録本掲載の小説をWeb用に再編集したものとなります。一部は書き下ろしです。


関連サイト: 巫女ブラスター2 巫女ブラスター

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