Written in Japanese(UTF-8)
2014.11.2
Ayacy's HP


/葦葉製作所/トップ/小説目次

神緒のべるず 番外編その4 真・疑似ごみ箱 -4-



前へ / 目次へ
いかにも睦姉さんらしい回答を聞いてから時が経ち、今は正午すぎ。
太陽は頭上まで上がり、あたりの温度をジリジリと上げている。

神社の庭はシーンと静まりかえり、中央に、例の箱が置かれていた。矢印の点滅はとても早い。そして、今にも中から何か出てきそうな雰囲気だ。

「そろそろね…」
「うん」

私はゴクリと唾を飲み込む。箱の中から感じられる霊力が極限まで高まっていくのがわかる。いよいよだ…!

箱の中から黒い煙がモクモクと、上がった。10メートルくらいの高さまでモクモクと上がると、煙は、なんとなく、人のような形を形成しはじめた。
耳や鼻に相当する部分がとがっているように見える。口や目に相当する部分は、赤く光っているように見える。

これが、そこら中に病の素をばらまく、悪魔の化身ってやつか…。

煙の形が、腕を振り上げるような形に変化する。
来るっ……!

そこですかさず、睦姉さんが赤い札を投げた。
ヒュッ!という風切り音とともに、すごい早さで、突き刺さるように赤い札が煙に突っ込んでいく。

御札が煙の中央に突っ込んでいった。よし! 命中だ!

そう思った瞬間、煙の腕は、睦姉さんのいた位置に振り下ろされた!

「えっ!?」

思わず私は声を上げる。すごい土煙。御札の飛んでいった方向を見てみると……御札は煙の背後に突き抜けていた。
そうか!相手は固体ではない!気体なのだ! だから、御札を投げても反応しないから爆発せず、突き抜けていってしまうのだ!

「こ、これって、マズイんじゃ……」

そう思っていると、睦姉さんの声がする。

「楓! 上!」

私は上を見ず、その場をすばやく離脱する。案の定、さっきまで私のいた位置には、先ほどとは別の、煙の腕が振り下ろされていた。いや、煙で作られた触手といった感じか。
睦姉さんの方も、さっきの攻撃からはうまく逃げていたようだ。しかし、この煙のバケモノとどう戦うべきか、作戦の立て直しを迫られてしまった。

「どうしたものかしらねぇ…」

睦姉さんの、冷静を保ちつつも、少し焦ったような声が聞こえてくる。私も必死に考えるが……



「これを使って!」

母屋の方から、巴姉さんの声が聞こえる。そこには、変わった形をした羽の付いた、扇風機みたいな道具が握られていた。
ほいっと、私のほうに投げられる。反射的にキャッチする。

これは……神具?
そこへ、巴姉さんの声が聞こえる。

「それは! 薬の調合の時に使っていた扇風機なんだって! たぶん、その悪い煙も吹き飛ばせるはずよ!」
「わかった! やってみる!」

私は扇風機に思いっきり霊力を込める。すると、扇風機が回り始めた。

ぶぉぉぉぉぉぉっ!

神緒のべるず 番外編その4 真・疑似ごみ箱 挿絵すごい勢いで風が巻き起こり、あたりの土埃を巻き上げる。同時に、悪魔の化身を構成していた煙の形も変化し、不安定な形になる。
そこですかさず、巴姉さんの声がする。

「睦姉さん! その赤く光っているところ! そこを狙って!」
「わかった!」

睦姉さんが、煙のあった場所の中心に見えた赤い光に向かって、赤い御札を投げる! 赤い光に御札がぶつかると、ものすごい閃光が放たれ、あたりは激しい光に包まれた———。

次へ / 目次へ

※このサイトは、着ぐるみ小説サイト「神緒のべるず」および、葦葉製作所頒布の小説「神緒のべるず 第1巻」、「神緒のべるず 第2巻(PDF版)」、Yuzu R.さんの再録本掲載の小説をWeb用に再編集したものとなります。一部は書き下ろしです。


関連サイト: 巫女ブラスター2 巫女ブラスター

葦葉製作所/トップ/小説目次